挑戦の壺[4]

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【MTGA】BO1向けに調整したグルールアグロについて

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はじめに

本記事では前回ミシック達成報告をした記事で少しだけ触れたグルールアグロについて紹介します。

このデッキはGP京都2019優勝したBae, Daekyeung選手が使っていたグルールアグロをMTGAのBO1向けに調整したものになります。

調整といっても最終的には元々用意されていた物のサイドボーディングになってしまいましたが...トホホ

色々調べれば調べるほど完成度の高さを思い知らされます。こんな素晴らしいリストを考えたBae選手は感謝!。

デッキリスト

MTGArena.Proのリンクを貼っておきますのでそちらをご覧ください。なぜか土地の変更とか更新されてないですけど...

mtga.cc

こちらにインポート用のレシピも置いておきます。邪魔になったら折りたたんでやってください。

MTGAインポート用デッキレシピ(クリックで折りたためます)

3 凶(きょう)兆(ちょう)艦(かん)隊(たい)の向(む)こう見(み)ず (RIX) 99
9 山(やま) (RIX) 195
4 ゴブリンの鎖(くさり)回(まわ)し (DAR) 129
2 ショック (M19) 156
4 稲(いな)妻(ずま)の一(いち)撃(げき) (M19) 152
2 溶(よう)岩(がん)コイル (GRN) 108
4 再(さい)燃(ねん)するフェニックス (RIX) 111
3 スカルガンのヘルカイト (RNA) 114
4 成(せい)長(ちょう)室(しつ)の守(しゅ)護(ご)者(しゃ) (RNA) 128
4 クロールの銛(もり)撃(う)ち (GRN) 136
4 踏(ふ)み鳴(な)らされる地(ち) (RNA) 259
4 根(ね)縛(しば)りの岩(いわ)山(やま) (XLN) 256
2 席(せき)次(じ) // 石(せき)像(ぞう) (GRN) 230
2 争(そう)闘(とう) // 壮(そう)大(だい) (RNA) 223
4 グルールの呪(じゅ)文(もん)砕(くだ)き (RNA) 179
4 手(て)付(つ)かずの領(りょう)土(ど) (XLN) 258
1 グルールのギルド門(もん) (RNA) 249

2 軍(ぐん)勢(ぜい)の戦(いくさ)親(おや)分(ぶん) (GRN) 109
2 シヴの火(ひ) (DAR) 142
1 混(こん)沌(とん)をもたらす者(もの)、ドムリ (RNA) 166
4 燃(も)えがら蔦(づた) (RNA) 161
2 遁(とん)走(そう)する蒸(じょう)気(き)族(ぞく) (GRN) 115
1 グルールのギルド門(もん) (RNA) 249
2 ビビアン・リード (M19) 208
1 森(もり) (RIX) 196

成績

現環境はデッキタイプが多すぎるので、日や時間帯によってマッチングするデッキが異なり結局のところ運ゲーになってしまいますが、使い始めてから負け越した日はないぐらいには完成されたデッキです。

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マッチアップ

デッキタイプによって有利不利はハッキリしていると感じました。

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対戦相手の色ごとに、右の濃い色の棒グラフが勝ち数で、左の若干薄い棒グラフが負け数です。

BO1環境にはびこる単色に強いのがこのデッキの最大の特徴です。基本的に単色に先行を取られてブン回られた場合は勝てませんが、そこそこの回りでしたら後攻でも巻き返せるポテンシャルはあります。《ゴブリンの鎖回し》をどう通していくかという感じでしょうか。

ビートダウン全般に強いですが、基本的にタフネスが5以上のクリーチャーが苦手です。緑絡みのどでかいクリーチャーが入ったデッキには勝ててないことからわかります。ボロスについても《正義の模範、オレリア》がキツく、こいつを直ぐに除去できない場合はかなり苦しいゲーム展開になります。

ティムールやジェスカイ、エスパー相手には負け越していることからコントロールに弱いことがわかります。どうしてもこっちがジリ貧になってまうので、早期決着ができなかった試合は全て落としてたと思います。

BO1向けの調整

調整といっても

スムーズにデッキ内のカードを唱えるために役立つツールもいくつか登場します。まだ活用していない読者の方は自身のデッキを見直す時に役立ててください。

土地を24枚から22枚へ

MTGAのBO1では初手に補正がかかるので、通常より土地を少なくしてもマナカーブに沿った安定したプレイをするための土地が確保できるからです
MTGAのBO1では最初に引く7枚のカードが調整されていることはご存知でしょうか。
MTGAでは初手を決定する際に、ゲーム内部で次の処理が行われています。

1. ランダムにシャッフルされた3つのデッキを用意し、それぞれのデッキについて7枚引いた手札をつくります。
2. この3つ手札のうち、土地の割合がデッキの土地の割合に一番近い手札をプレイヤーに渡す。
※マリガンをした際も1, 2と同じ処理が行われる。

このため土地事故が起こる確率が低く調整されているのです。

以下細かい確率の話(クリックで折りたためます)

通常では60枚のデッキに土地が22枚と24枚入っている場合に、最初の7枚引いた時、1度マリガンして6枚引いた時、2回マリガンして5枚引いた時に手札にn枚の土地が来る確率は次の表になります。

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続いて、MTGAのBO1で60枚のデッキに土地が22枚と24枚入っている場合に、先ほどと同様の3つの条件で手札にn枚土地が来る確率は次の表になります。

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これを見ると土地を減らしても高確率で初めに3枚引けることがわかります。

nervous-nightingale-cab0c5.netlify.com

MTGAの表はこののサイトから抜粋しました。何回かシミュレーションして確率を求めているため実行毎に若干の数値のズレがあります。

何故22枚なのか

初めに7枚カードを引いた時に、2枚土地を引く確率と、3枚土地を引く確率が逆転するためです。(画像は先ほどのシミュレータをキャプチャしたもの)

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ただ次の表を見てわかる通り、マリガンした後は似たような引きになります。

f:id:b8Jfbf73MLHp:20190418215417p:plain赤単のような主に3コスト以下で構成されているデッキは2マナあれば十分動けるため、土地を21枚以下で構築してもいいかもしれません。

しかし、このデッキは《再燃するフェニックス》や《スカルガンのヘルカイト》といった中マナ域にフィニッシャーを置いているため、4t, 5tにマナスクリューを起こさないため初手に土地は3枚あるにこしたことはないと考えからです。

また、入れ替えるなら効果的なカードと入れ替えたいので、そのカードを引けるように2枚という理由もあります。

どの土地を抜くのか

土地の調整で参考になるのがFrank Karsetenのマナベース理論です。

全文は以下のリンクからお願いします。

www.channelfireball.com

初めにこの表を参考にしました。

これは特定のカードを特定のターンに一貫して唱えるための確率表です。Frank Karsetenは90%の確率で必要なマナを用意できれば一貫していると定義しています。

http://227rsi2stdr53e3wto2skssd7xe-wpengine.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/2018/10/How-many-sources-60-cards.png

まず、前提として以下の条件のもと確率が求められています。

  • 40枚のデッキには17枚の土地を含み、60枚のデッキには24枚の土地を含み、99枚のデッキには40枚の土地を含みます。
  • 色のマナ源は土地のみです。
  • 7枚中土地が0,1,6,7枚の時にマリガンし、6枚中土地が0,1,5,6の時にマリガンし、5枚中土地が0,5枚の時にマリガンし、それ以外はキープする。

 この表について例を挙げて簡単に説明すると...

  • Rの《ショック》は、赤マナを出す土地が14枚あれば1t目に一貫して唱えることができる。
  • 1Rの《凶兆艦隊の向こう見ず》は赤マナを出す土地が13枚あれば2t目に一貫して唱えることができる。
  • 3t目にRRRの《ゴブリンの鎖回し》を一貫して唱えるためには赤マナを出す土地が23枚、少なくとも22枚は欲しい。

といった感じでしょうか。

今回は土地が22枚と少ないためそのまま上の表に当てはめることができません。そこで次のツールを活用します。

このサイトは彼の理論に沿って作られていて、エクスポートしたデッキ情報を貼り付けると自動的にシミュレーションを行ってくれます。

mtgoncurve.com

作者のRedditのVerificationにある、24 lands / 60 cards with 14 sourcesなどの例と彼の表を突合するとおおよそ同等の計算がされていることがわかります。www.reddit.com

手付かずの領土》は無色マナとして計算されているようなので(都合のいい)次のように計算しました。

元々赤主体のリストなのと、色拘束の強い鎖回しを採用しているため《》を減らすことは考えてませんでしたが《席次//石像》を入れたため緑マナ源についても考える必要がありました。

グルールのギルド門》か《》で迷いました。どちらも《席次//石像》以外は一貫して唱えることができますが、このカードはゲーム中盤使う事を前提としているので大きな問題ではありませんでした。

グルールのギルド門》はタップインランドというデメリットはありますが、緑マナを必要とするクリーチャーが2コスト以上なので《》の恩恵が薄く、3つの赤マナ源の確保をより高い確率で行うために《グルールのギルド門》を採用することになりました。

このリストの計算結果はこちら。

mtgoncurve.com

ちなみに、4t目に《席次//石像》を3C、《ゴブリンの鎖回し》1CCCと見た場合に必要な土地は十分供給できていると思います。これらコンボパーツが手札にあり唱えられるマナ源がそろっているのは先行で10%、後攻で15%程度です。2枚の土地を抜いたことで10~7回に1度は決められるコンボを入れることができたと考えればいいのではないでしょうか。

終わりに

人が作ったデッキをコピーして使うにしても、色々考えて自分で納得して使うのが一番ですね。

また、部族をある程度固めることで《手付かずの領土》のようなカードを使い普通では安定しえないマナベース問題を解決策があるということを学びました。 《ザル=ターのゴブリン》なんて使ってる場合じゃねえ!

土地の枚数や配分、カードを引く確率など色々勉強になったので、1からデッキを作る際に意識していけたらと思います。

MTGを初めて1か月と少し経ちましたがまだまだ初心者なので指摘やアドバイス等あればどしどしお願いします!